日本では一山の本尊を安置する、
寺院の中心的な堂を指して「本堂」あるいは「金堂」ということが多い。「
金堂」が
飛鳥時代から
平安時代前半にかけての
古代創建の寺院で多く使われているのに対し、「本堂」は
宗派にかかわらず、古代以降も含め広く使用される。ただし、
奈良時代創建の寺院でも、
新薬師寺、
西大寺のように現在は「本堂」という名称を使用している寺院もある。
延暦寺など
天台宗寺院では同様の建物を「
根本中堂」もしくは「
中堂」と呼称し、
禅宗寺院においては「
仏殿」と呼称することが多い。しかし、禅宗にあっても特に
方丈形式の中心堂宇を指して「本堂」と称する場合も多い。
また、
室生寺や
當麻寺のように「金堂」と「本堂」が別個に存在する寺院もある。室生寺(
奈良県宇陀市)には平安時代前期以来の「金堂」(
国宝)があるとともに、
鎌倉時代末期の
延慶元年(
1308年)に造営された
灌頂堂が「本堂」(国宝)と呼ばれている。奈良時代に建てられた當麻寺(奈良県
葛城市)でも創建当初の本尊仏である
弥勒菩薩を安置する仏堂を「金堂」(国宝)と称するのに対し、
院政期の
永暦2年(
1161年)に建造された、
当麻曼荼羅のある
曼荼羅堂を「本堂」(国宝)と呼称する。これらは、寺院創建当初の古代にあって本尊仏を祀った建物を「金堂」とし、時代の変遷のなかで信仰対象の中心がかわり、のちに当該寺院の中心的な施設となった建物を「本堂」と称して、両者を使い分けるようになったものである。