部首 wikipedia|無料辞書
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部首(ぶしゅ)とは、
漢字を構成する字形要素の一つである
偏旁を、漢字を分類する際の基準として定めたものである。すべての漢字は必ず、いずれかの部首に所属する。
後漢の
許慎の著で紀元
100年/
永元12に成立した『
説文解字(せつもんかいじ)』以来、
字書では見出しとなる漢字を部首ごとにまとめて配列するのが一般的である。
部首の本義は、漢字を部によって分類したときの、その部の最初の文字という意味である。部によって分類すると、その最初にはその部の部分だけによって成り、何の変形もしていない字がその部の代表として置かれる。この字を部首と呼ぶのだが、それを元に行った分類法自体も「部首」と呼ぶようになったのであろう。
古い辞書や参考書等において、我々の考える部首のことを「
偏旁冠脚」(へんぼうかんきゃく)または「偏旁」という別称を用いる場合が散見される。これは現象としては逆で、現代日本において「部首」という言葉が「偏旁冠脚」の意味を混用するようになったためである。上記のようにもともと部首とは分類名・分類法のことであり、漢字のパーツを意味する言葉は「偏旁冠脚」であったが、現代日本において「部首」という言葉でパーツの意味を表すようにもなっている。
◆ 学校教育における部首
中学校の国語においても、
教科書によって部首の定義は分かれている。使用者の最も多い
光村図書の現行の教科書(中学一年)では、「作・今・人」などの漢字について、「これらは、人の動作や状態に関するものが多いので、『人』の部にまとめられている。このときの『人』を部首という。」と書いている。これは、上記の「漢字を部によって分類したときの、その部の最初の文字という意味である。部によって分類すると、その最初にはその部の部分だけによって成り、何の変形もしていない字がその部の代表として置かれる。この字を部首と呼ぶ」という考え方に近い。一方、
三省堂の教科書(中学一年)では「部首とはいくつかの漢字に共通している、漢字の一部分のこと」と定義している。この考えに立てば、「作」の部首はにんべんであるということになる。これは、上記の「『部首』という言葉が『偏旁冠脚』の意味を混用するようになった」現状を追認したものといえる。ほかの教科書も、この考え方に立っている。なお光村図書の教科書では、上記引用部に続けて、「部首のあつかいは漢和辞典によってちがうこともあるので、注意する必要がある。」という断り書きを載せている。
◆ 部首分類の歴史
初めて漢字を部首によって分類したのは『説文解字』である。『説文解字』は
篆書体(小篆)の漢字を540の部首に分けて体系付け、その成り立ちを「
象形・
指事・
会意・
形声・
転注・
仮借」の6種(
六書;りくしょ)の原理に従って解説したものである。
『説文解字』の部首分類は、漢字の意味をその構成部分の持つ意味によって体系化することを目的としたものである。その上、ある漢字を元にして派生した漢字が1字でもあれば元になる漢字を必ず部首として立てるという方針で編纂されているため、「殺」や「放」などの形声文字も部首として立てられている。部首の数も非常に多く、「一」から「十」までの数字、「甲」から「癸」までの
十干、「子」から「亥」までの
十二支がすべて部首になっている。部首の配列法は意味の関連と字形の関連によっているが、数の冒頭である「一」で始まり、十二支の末尾である「亥」で終わるもので、
陰陽五行の理念の影響を強く受けている。そのため、部首分類を利用して目当ての字を探し出すことは極めて困難であった。
以後、『説文解字』に倣って、部首によって漢字を分類した書物(これを
字書と呼ぶ)がいくつか作られた。『
玉篇』(542部首)、『
類篇』(540部首)などの字書は、親字が
楷書体となり、字解の内容も漢字の成り立ちでなく字義を中心としたものに変わっている。しかし、取り上げられている部首は『類篇』では『説文解字』と全く同じであり、『玉篇』でも違いはわずかである。そのため、検索については『説文解字』と同じ欠点を持っていた。
中国では、長い間、検索の利便性の点から、漢字を部首別に並べた字書の配列よりも、漢字を
韻目順に並べた
韻書の配列の方が多く利用されてきた。部首分類の祖である『説文解字』も、
南宋の時代に部首を韻目順に並べ替えた『説文解字五音韻譜』が出るとたいへん広く使われ、一時は『説文解字』というとこの本のことを指すほどであった。『
佩文韻府』(はいぶんいんぷ)や『
隷辨』(れいべん)などが韻目順であるのは、検索にもっとも便利であるからである。
その後、
遼の僧侶
行均の『
龍龕手鑑』(りゅうがんしゅかん)(242部首)、
金の
韓孝彦・
韓道昭の『
五音篇海』(444部首)など、部首の数をしぼって索引の便を図った字書が出た。特に『五音篇海』は同一部首に属する漢字の画数順配列を(部分的にではあるが)採用している。しかし、これらの字書では、まだ部首自体の配列順に
画数順は採られておらず、『龍龕手鑑』では部首を韻目順に配列し、『五音篇海』では
五音三十六字母の順、すなわち部首字の
子音順に配列する方式が採られていた。
◆ 画数順の214部首
現在の
画数順に214部首を並べる形は、
明の
万暦43年(
1615年)、
梅膺祚によって編纂された『
字彙』によって初めて行われた。『字彙』は部首の配列順及びその部首に属する漢字の配列順をすべて画数順とした画期的な字書である。それ以前の字書に多く見られた所属文字の極めて少ない部首を大胆に統合したこともあって、本書の出現によって字書による漢字の検索は以前に比べて極めて容易になった。
『字彙』による所属文字の少ない部首の統合の実例を見てみよう。『説文解字』では「男部」に「男、甥、舅」の3字が属するが、『字彙』では「男部」は廃止され、「男」は「力部」に、「甥」は「生部」に、「舅」は「臼部」に移っている。「甥」も「舅」も形声文字であり「生」「臼」はその音符、「男」は意符にあたる。詳しくは「部首分類の実際」の項で説明するが、形声文字の部首はその意符の部分であるのが原則である。であるから、理屈の上では、『説文解字』のように部首を「男」とする方が正しい。しかし、『字彙』はあえて理屈によらないことによって所属文字わずか3字の「男部」を廃止し、結果として検索をより容易にしている。
このように、『説文解字』の部首が漢字を意味により分類し体系づけることを目的としているのに対し、『字彙』の部首は漢字を検索するための形態による分類の道具、という面が強い。しかし、全体的には意味によって漢字を分類するという要素も残している。
日本の漢和辞典の多くは、『字彙』の配列順におおむね従った『
康熙字典』の214種類の部首による分類を基本にしている。なお、『字彙』の部首と『康熙字典』の部首の配列の違いは、『字彙』が5画部首の冒頭を「玉玄瓜」の順としているのを、『康熙字典』が康熙帝の御名「玄」を5画部首の冒頭にするために「玄玉瓜」の順に改めているなど、2ヶ所に過ぎない。それぞれの漢字の部首の決め方は、『字彙』がどちらかというと字形に傾いているのを、『康熙字典』はやや字義優先に修正している。
なお、これらの214部の分類で、同画数の部首の配列順序には、全体を貫く原則は存在しない。しかし、2画では「人」「儿」「入」「八」部が、3画では「土」「士」部が、4画では「日」「曰」部が並んでいるように類似の部首を並べる配慮がされているほか、4画で「牙」「牛」「犬」部が並んでいるように意味の類似した部首をまとめようとしていることも窺える。
日本の漢和辞典の多くは、『康熙字典』の部首の配列順序をおおむね踏襲しているが、現代中国の漢字辞典は同画数の部首の配列順序は筆画順に配列されているものが多い。
◆ 部首分類の実際
『康熙字典』では原則として部首を意符に基づいて分類しており、例えば
:読・計・詩・訂・訓・話・誓・變・?
という九つの漢字は、すべて「言部」という部首に属する。
・部首 page1
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